うちにも相続税はかかる?やさしくわかる相続税の基本と節税のコツ
「相続税って、うちにも関係あるのかな?」と不安に思ったことはありませんか。じつは、相続税がかかるご家庭は全体のごく一部です。この記事では、相続税がかかる人とかからない人の違い、税金の計算のしかた、税額をぐっと減らせる制度、そして生きているうちにできる対策まで、初めての方にもわかりやすく解説しますね。
相続税は、すべての人にかかるの?
いいえ、かかりません。相続税がかかるのは、遺産の合計額が「基礎控除(きそこうじょ)」と呼ばれる一定の金額を超えた場合だけです。
国税庁のデータによると、相続税の申告が必要になるのは、亡くなった方全体のおよそ1割ほど。つまり、約9割のご家庭では相続税はかからないのです。まずは「うちの遺産が基礎控除を超えるかどうか」を確認することがスタートになります。
基礎控除って、いくらなの?
基礎控除の金額は、次のシンプルな式で計算できます。
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
遺産の合計がこの金額以下であれば、相続税の申告も納税もいりません。家族の人数ごとの目安は、次のとおりです。
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
※相続を放棄した人がいる場合でも、基礎控除の計算では「法定相続人の数」に含めて数えます。
相続税は、どうやって計算するの?
相続税は「遺産をいったん法律で決められた割合(法定相続分)で分けたと仮定して税額を計算し、その合計を実際にもらう割合で振り分ける」という、少し変わった方法で計算します。流れは次の5ステップです。
• 遺産の合計額から基礎控除を引いて、「課税される遺産の額」を出します。
• その額を、いったん法定相続分で分けたと仮定して、それぞれの取り分を計算します。
• それぞれの取り分に税率を掛けて、一人ひとりの税額を出します。
• 全員分の税額を合計して、「相続税の総額」を求めます。
• その総額を、実際に財産をもらう割合に応じて振り分けます。
税率は、取り分が大きいほど高くなる仕組み(10%〜55%)です。
取り分(法定相続分ベース) | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | — |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
税金をぐっと減らせる制度(控除・特例)
相続税には、条件に当てはまれば税額を大きく減らせる制度がいくつも用意されています。とくに次の2つは効果が大きく、多くのご家庭が対象になりますよ。
① 配偶者の税額軽減
夫や妻が受け継いだ財産については、「1億6,000万円まで」または「法定相続分まで」のどちらか多い金額まで、相続税がかかりません。
※注意点:税額が0円になる場合でも、相続税の申告書の提出は必要です。
② 小規模宅地等の特例
亡くなった方が住んでいた自宅の土地(330m²まで)は、評価額を最大80%減らして計算できます。たとえば評価額5,000万円の自宅なら、1,000万円として計算できるということです。同居していた配偶者や親族などが対象になります。
そのほかの控除
• 未成年者控除:財産を受け継ぐ人が未成年の場合、18歳になるまでの年数×10万円を差し引けます。
• 障害者控除:障害のある方が受け継ぐ場合、85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)を差し引けます。
• 相次相続控除:10年以内に2回以上相続があった場合、前回払った相続税の一部を差し引けます。
生きているうちにできる3つの節税対策
相続税は、生前の準備しだいで大きく減らすことができます。代表的な方法は次の3つです。
① 生前贈与(せいぜんぞうよ)
年間110万円までの贈与には贈与税がかからないため、毎年少しずつ財産を家族に渡していく方法です。ただし2024年以降、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に足し戻されるルールに変わったので、早めに始めることが大切です。教育資金や住宅取得、結婚・子育て資金の一括贈与には特例もあります。
② 生命保険の活用
死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。たとえば相続人が3人なら、1,500万円まで税金がかかりません。現金をそのまま残す代わりに保険に替えておくことで、課税される財産を実質的に減らせます。
③ 不動産の活用
現金よりも不動産のほうが、相続税の計算上の評価額が低くなる場合があります(目安は時価の約60〜80%)。アパートなどの賃貸物件は、さらに評価が下がります。ただし、行きすぎた節税は税務署に認められないリスクもあるため、専門家に相談しながら進めましょう。
申告と納税は、いつまでに・どこへ?
相続税の申告と納税の期限は、「相続があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。期限を過ぎると延滞税がかかるので注意してくださいね。
• 申告先:亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。
• 申告書の作成:財産の評価や特例の適用には専門知識が必要なため、税理士への依頼をおすすめします。
• 延納(えんのう):一括で払えない場合、最長20年の分割払いができます(利子税がかかります)。
• 物納(ぶつのう):現金での納付が難しい場合、不動産や株式で納めることもできます。
まとめ:おさらい
• 相続税がかかるのは、遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を超えた場合だけです。約9割のご家庭にはかかりません。
• 「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」を使えば、税額を大きく減らせます。
• 生前贈与(年110万円まで非課税)や生命保険の非課税枠(500万円×相続人の数)は、早めの活用が効果的です。
• 申告と納税の期限は「相続を知った日の翌日から10か月以内」。過ぎると延滞税がかかります。
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免責事項
本記事は、相続税に関する一般的な情報の提供を目的としたものであり、税務・法律に関する専門的な助言を行うものではありません。
記事の内容は執筆時点の法令・制度に基づいています。税率・控除額・特例の内容は法改正等により変更される場合がありますので、最新の情報は国税庁のウェブサイト等でご確認ください。
実際の相続税の申告や節税対策の要否・効果は、個々のご家庭の財産状況等によって異なります。具体的な手続きにあたっては、税理士などの専門家にご相談ください。